型枠には種類がある!代表的な型枠の種類について解説
プレハブ小屋などの簡易な建物を除き、建物を建築するときには型枠工事が必要となります。
さらに、橋やトンネルなどのインフラを整備する際にも型枠工事が行われます。
ここでは、型枠工事に使用される型枠の種類について詳しく解説しています。
型枠工事とは
型枠工事とは、鉄筋コンクリート造の建物を建築する際の躯体工事の一工程で、具体的には鉄筋の周りにコンクリートを流し込み、建物の構造体を作成していきます。
コンクリートを流し込むためには型枠が必要となるため、この工程を型枠工事と呼んでいます。
鉄骨造ではない木造住宅においても型枠工事は必要で、基礎部分もほとんど同じ工程で型枠工事が行われます。
基礎は家を支える大切な役割を担っていて、基礎工事では金属製の型枠を組み立て、そこにコンクリートを流し込んで頑丈に固めていきます。
型枠工事の重要性
型枠工事は、建物の基礎や構造をつくる大事な作業であり、わずかな歪みや凸凹があれば、建物全体が傾く原因になります。
建物は水平垂直を保って建築されていなければ、そこに住む人の健康状態にも悪影響を及ぼす危険性もあります。
さらに、歪みや曲がりは建築物の強度に影響が出ることもあり、当然ながらコンクリートがしっかり固まっていなければ、建築物の重さに耐えられなくなり崩壊の恐れもあります。
加えて、コンクリートを流し込んでいる途中で型枠にズレなどがあれば、コンクリートの漏れが発生して、大掛かりな補修工事が必要になることも。
建築費用も大幅にアップするということにもなりかねません。
このように、型枠工事は頑丈で強固な建物を建築するためのとても重要な作業であり、絶対に失敗は許されません。
型枠の種類
型枠工事に使用される型枠は、一般的には専用の合板に桟木(さんぎ)という角材を釘で打って作成されます。
しかし、建築工事の種類や内容によって、それとは異なる型枠が使用されるケースもあります。
数ある型枠の中から代表的なものを紹介します。
化粧打放し型枠
型枠にコンクリートを流し込む作業のことを「コンクリート打設」と呼んでいますが、通常は打設したコンクリートの表面にタイルが貼ったり塗装を施したりします。
これに対して化粧打放し型枠とは、その名が示している通りに、コンクリート打設をしたままの状態で仕上げをする方法です。
型枠工事では最終的に型枠を解体し、コンクリートの表面がむき出しになりますが、この方法を用いる場合はそれが仕上げとなるため、型枠にも化粧が必要となります。
多くは型枠の板の木目が出る模様や、石組みのような模様が表現されますが、そのために美しい仕上げ面になるように、型枠の表面にしっかり模様を施しておかなくてはいけません。
システム型枠
システム型枠を使用する目的は、型枠工事の作業効率をアップさせるためです。
型枠工事で使用される型枠を、箇所ごとにユニット化し、短時間で組み立てられるようにしたものがシステム型枠です。
建物は柱や梁や床などの構造体の集合で構成されていますが、それぞれの専用型枠組立キットをあらかじめ用意しておけば、それぞれの形に合わせて一から型枠づくりを行う手間を省くことができます。
組み立て作業は必要になりますが、キットがあれば簡単に組み立てができて、人件費も削減できます。
もちろん、キットを購入するためには費用がかかりますが、システム型枠は何度も繰り返し使用できることから、長い目で見ればコストダウンを図れます。
システム型枠は、大規模な建築物のほか、道路の橋脚や擁壁などで使用されることが多くなっています。
特殊形状型枠
戸建住宅やマンションやビルなどは、縦横共に直線的なものが一般的ですが、美術館や音楽ホールや公園などの大きな建造物では、曲線をはじめとする特殊な形状に設計されるケースも多くみられます。
デザイン性が求められる建造物を建築する際に使用されるのが、「特殊形状型枠」です。
通常の合板では対応できなくなり、特殊な材料が求められます。
特殊形状型枠には、FRP型枠が使用されることもあり、これは合板の型枠の上に繊維強化プラスチックであるFRPがコーティングされたものです。
そうすることで複雑な形状にも対応可能となり、仕上がりを滑らかにすることもできます。
FRP以外にも、近頃ではプラスチックをはじめとした様々な新素材の型枠が登場しています。
基礎部分に使用される「メタルフォーム」という鉄製の型枠は、木製に比べるとかなり耐久性に優れています。
今後も作業効率や耐久性を求めて、どんどん新素材の型枠が開発されていくことが予想されます。
まとめ
型枠工事はほとんどの建物に必要な工事で、型枠はその出来栄えや強度に大きな影響を与える非常に大切なものです。
そのため、時代と共にシステム型枠や機能性にも優れた新素材の型枠がどんどん開発されています。
ただし、型枠工事を行うのは人間であることから、型枠職人には都度慎重で繊細な作業が求められています。